IZ*ONEがとうとうディスコに挑戦した。韓国の音楽界では昨年から猛烈なレトロ旋風が吹き荒れており、EVERGLOWや(G)FRIEND、TWICEなどが相次いで1980年代調の新曲を発表してきた。そういう意味ではIZ*ONEも遅まきながら流行に乗っかった格好になる。だが、それにしてもやはり、彼女たちのディスコは独特だ。

(注)本来は公式アプリ「UNIVERSE」でMVを見るべきですが、回線が途切れるなどの不具合が頻発し、視聴できていません。やむを得ず、YouTubeにアップされた動画の感想を書きます。問題が解消された時点で、改めてリンク先も公式に変更する予定です。

最初にミュージック・ビデオ(MV)を見た時、言葉を失い、何を書いていいのかわからなくなった。ボーッと眺めているだけで、目がウルウルと濡れてくる。あまりにも美しく、幻のようだ。しかし、少し冷静さを取り戻してみると、この世界には現実的な男の臭いが立ち込めていないことに気付く。本来、ディスコとは、若い男女がパートナーを探しに集まって来る出会いの場ではなかったか。にもかかわらず、IZ*ONEのディスコは、まるで男子禁制の花園だ。時間が止まったような寄宿舎で共同生活を送る女子高生たちが、将来のラブロマンスを夢見ながら、あくまでも内輪のダンス大会で憂さを晴らしている風情ではある。

IZ*ONEのメンバーは25歳のウンビから16歳のウォニョンまで年齢層が幅広い。また、身長差もかなりある上に、日韓という文化差も無視できず、メンバー間で個性のバラツキは大きいと思われる。そんな彼女たちがどうして、舞台上であれほどの一体感を醸し出せるのだろうか?答えは簡単である。最年少にしてセンターを務めるウォニョンの存在だ。彼女がリーダーとしてグループを引っ張るという意味ではない。むしろ反対に、幼くて世慣れないウォニョンを常に振り返って気遣い、皆がウォニョンの視点を共有し合うことにより、強固な一体感を実現してきた。異論を恐れずに言えば、ウォニョンの純粋な眼から世界がどう見えるかを12人で体現したものが、IZ*ONEの世界観なのだ。

あれほど一分の隙もないフォーメーションダンスを披露してきたIZ*ONEだが、今回のMVでは以前にも増して、メンバー間の格差が広がってきたことを認めざるを得ない。例えば、イェナやチェヨン、チェウォン、ウンビらのセクシーさは、もはやIZ*ONEの枠を越える瀬戸際にまで達している。だからといって、IZ*ONEが分裂した、などと言いたいわけではない。彼女たちはやはり鉄壁の結束を誇っているのだから。

今回の曲は、従来のIZ*ONEからは考えられないくらい、大人の女性のセクシーさがテーマである。しかし、残念なことに、歌詞がイマイチだ。日本語訳を読む限り、不器用な男の子に女の子が踊り方を教えている場面のようだ。可愛さはあるが、ハッとさせる色気には欠けている。男女の切ない駆け引きがリアルに描かれていない(おそらくIZ*ONEのコンセプトから逸脱しないようにわざとオブラートに包んで露骨さをボカしてるんだろうけど)。そんなところにIZ*ONEの限界を感じ、歯痒さを覚えてしまったのは私だけだろうか。

そうは言っても、もうすぐウォニョンも男性を意識し始める年頃だ。考えてみると、IZ*ONEがデビュー時にはめられた「2年半」という時間枠は、実はウォニョンが大人になるまでという期限だったのかもしれない。この期間の成長は非常に目覚ましかった。そして、メンバーたちがセクシーな女性になればなるほど、グループの終末感が強まってくるのは何とも悲しい運命の悪戯というしかない。